おざとしです。先日、2週間限定で公開された映画『クソ野郎と美しき世界』を観てきました。
特にSMAPファンでもなかった自分でさえ、あの解散劇には心が締め付けられました。
新しい地図を広げ、歩み始めた稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾の3人が出演する作品の紹介です。
(我ながら最初の記事がまさか読書に関することじゃないとは・・・(;’∀’))
『クソ野郎と美しき世界』ってどんな映画なの?・紹介と感想
「ぶっとんでるけど愛がある」というコンセプトのオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』。
この映画は、稲垣、香取、草彅が各主演のエピソード 01, 02, 03 が順に進んでいきます。
3つのエピソードは、ほぼ無関係な内容ながら、最後のエピソードで一つの世界に収まります。
以下、各エピソードの紹介と感想です。
EPISODE.01「ピアニストを撃つな!」
監督:園子温
出演:稲垣吾郎・浅野忠信・馬場ふみか・満島真之介
天才ピアニストを演じる稲垣吾郎に「愛してる!」と叫び、走り続ける馬場ふみかもそうですが、
彼女を追いかける浅野忠信・満島真之介ら(もはや吾郎ちゃん以外)全員の演技が強烈です。
物語をほとんど感じられないこのエピソードでは、「何?なぜ?」が通用しません。
愛しているから求める。登場人物がガムシャラにそれぞれの『愛』を求めます。
園子温監督らしい過激な作風で、物語はアップテンポに進みますが、突然の終わりを見せます。
最初のエピソードで正直、頭の中が「?????」で埋まっていきました。。。
全編通して最も「ぶっとんでる」と言ってもいいかもしれません。
EPISODE.02「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」
監督:山内ケンジ
出演:香取慎吾・中島セナ・古舘寛治
一転してスクリーン全体から静かな印象を受けるエピソード。
過去の出来事を引きずっているような、アーティストを演じる香取慎吾。
3つのエピソードの中で最も『素』のような役回りで、観ている方が、
勝手にSMAP解散の傷を連想してしまうシーンもあります。
歌うこと(表現すること)を失った彼が何を歌おうとしたのか?気になる場面です!
彼が歌を失う理由でもある『歌喰い』という不思議なキャラクターと共に、
歌を取り戻す方法がファンタジーであり、少しコメディ的な世界感です。
『歌喰い』役を演じた中島セナ(11歳!)の存在感がとても印象に残ります。
EPISODE.03「光へ、航る」
監督:太田光
出演:草彅剛・尾野真千子・新井浩文・健太郎
エピソードが進むにつれ、シリアスさが増していきます。
草彅剛演じるチンピラは尾野真千子演じる妻との関係が破綻寸前。
亡くなってしまった息子の右腕は誰かに移植されている。
息子が生きていた証であるその右腕を求めて、夫婦は沖縄へ向かいます。
尾野真千子の鬼気迫る演技が素晴らしいですが、夫婦間のやり取りでは、
太田光監督ならではの、漫才のような掛け合いに思わず笑ってしまいます。
エピソード04以外では唯一、ほかのエピソードとのつながりを匂わせる場面もあり、
3つの中では最も映画として成立していると感じました。
EPISODE.04「新しい詩(うた)」
監督:児玉裕一
出演:クソ野郎★ALL STARS
エピソードがそれぞれの終わりを迎え、舞台は夜な夜なクソ野郎たちが集まるダンスフロアへ。
吾郎ちゃんのピアノと、慎吾ちゃんの歌で繰り広げられるこのエピソードは、まるで1曲のMV。
各エピソードが少しづつ繋がりあうシーンもありつつ、物語の中心はあくまで歌(新しい詩)。
大勢のクソ野郎達が大騒ぎし、狂乱の内に大団円へと向かいます。
そうそうたるクリエイターが関わったというだけあり、
クソ野郎★ALL STARSの中にはネットで見たことがあるような人も登場し、
今の日本のアート・クイリエイターの現在地を表現しているようにも思えました。
さいごに。
「ぶっとんでるけど愛がある」というコンセプトのオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』。
自分が感じたのはエピソードを通して何かを求める人々の姿です。
愛を、表現を、家族を。
どうしようもない現実にもがき苦しみ、クソ野郎と言われながら、それでも何かを求め続ける。
『新しい詩』というミュージカル仕立てのエピソードは、そんな、これからの3人と、
彼らを支えつつ、同じように何かを求め続ける多数のクリエイターが、
果てしなく広がる大海原に向け、新しい地図をひろげているように思えました。
そして、そこに流れている曲はまさにファンファーレのようでした。
この映画は2週間限定の公開です。気になった方はお早めに映画館へ!
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